青い空チームのみなさん [プロジェクトマネジャー]

各自のプロの強みを随所に発揮しながら、豊かなコミュニケーションでチームの団結力が光った「NPO法人 青い空〜子ども・人権・非暴力」チーム。

納品後、久々の“同窓会”的な雰囲気の中で、個々のメンバーが感じたプロボノについて共有いただきました。

NPOとプロボノワーカー それぞれが交換した“価値”

コピーライター(以下、CW)高橋さん:
 久しぶりだけど、Facebookとかで繋がっているからあまり久しぶりな気はしないね(笑) 少し時間が経ってプロジェクトを振り返ってどう?

マークアップエンジニア(以下、ME)荒木さん:
 サービスグラントは役割がきっちり決まっているので、例えばマーケッターだったら特に最初の工程に、制作の段階になるとデザイナーとかコピーライターがメインになっていくけど、いま振り返っていて私が感じたのは、青い空チームの場合、プロジェクトをやっている間、常にみんなが一緒に揃って進められていたのがよかったかな。
 仕事とプロボノとのバランスでいえば、会社ではお昼休みとか、できるだけ仕事を早く終わらせて帰るとか、時間の使い方を工夫する必要はありましたけどね。

プロジェクトマネジャー(以下、PM)山田さん:
 バランスということでは僕の場合は家族との兼ね合いですね。
 今回、平日の夜をベースに打ち合わせを重ねていけたのはよかった。それから、正直、サービスグラントを始めるまで、NPOという言葉は聞いたことがあっても、その概要や体制についてはまったく知らないし、一生関わらないかなと感覚的に思っていました。この活動を始めて、こういう世界があるんだ!ということで目が覚めちゃいました(笑)。

ME荒木さん:
 印象的だったということでは、いつだったか、団体の情報の出し方の話になったとき、青い空さんは活動をきちんと事業として考えている一方で、「NPOだから儲けちゃいけない」という感覚を持っていて、黒字になっていることをあまりオープンにするのは...と躊躇されてましたよね。それをみんなで説得した時のことが記憶に残ってる。
「事業継続のためには資金が必要なのだし、経営が大変だといわれるNPO業界の中で黒字運営できているという情報自体が素晴らしい」「それだけ事業の継続を見込めているのだから情報として出さないと勿体ないじゃないですか」って励ましたときがあったよね。
 NPOはお金の色を見せてはいけない、という感覚は、NPOが越えなきゃいけないところなのかなと思うな。

PM山田さん:
 僕らのようなビジネスサイドの人間がNPOに関わることで、NPOに与えることができた示唆もあり、また、僕らがNPOからもらったものもありましたよ。
 こちらから与えたという意味では、やはりさっき荒木さんのいったシチュエーションかな? つまり、NPOは理念先行で効率化よりも「想い」でずっと走って来ている人たち。僕らのビジネスの感覚から、効率化とか収益をあげることの重要性を訴えたとき、はじめて向こうはそういうことも重要なのだと分かった瞬間があったと思います。それから、NPOと企業の合意形成のプロセスの違いは感じましたね。ビジネスの世界だったら合意形成を進めないと物事が運ばないから、当然上司が決裁するという明確な意志決定ルールがあるじゃないですか。でも、NPOの場合、みんながそれぞれの想いを持ってやっている。それはそれで一つの良さかもしれないけど、プロジェクトだったり、何か特定の目的を持って物事を前に進めるときにはリーダーが合意形成しないといけないというのも感じてくれたかも...。

ME荒木さん:
 フラットであるがゆえに意思決定に時間がかかるという側面はあるかもしれない。でも、毎回のミーティングで手作りのサンドイッチを作ってくれたり、雰囲気を大事にする温かさはとても感じたよね。

マーケッター(以下、MK)三宅さん:
 理事長の高柳さんご自身も、「まずは、みんなの意見を」というやさしい方だったし、とにかくアットホームな雰囲気でしたしね。

PM山田さん:
 その「アットホームさ」が、逆に僕ら企業にいる人間に対しての「示唆」かなと感じますね。僕は、みんなもよく知っている企業に勤めているけど、全体的に無機質というかビジネスライクすぎるというか...。今の企業には、青い空さんのミーティングにあった「あったかさ」や「アットホーム」なところってだいぶ薄れてきているような気がしますね。昔は、ある程度非効率なところや無駄な部分でのつながりがあったけれど、今は逆にそれがなくなりすぎている感じがして...。青い空さんとのミーティングに参加するたびに、お互いの想いや意見を気遣うところに優先度が高いというのを本当に感じて、そんなNPOが持っているような「あったかい繋がり」というのは、企業にも必要なのではとつくづく感じましたね。

ME荒木さん:
 あ、私、お弁当作るようになったもん、あれから(笑)。
 ミーティングに行くたびにおにぎりがあったりサンドイッチを作ってくれたり、やっぱり手作りっていいなと思って、いま、お昼はお弁当を作って持って行っている。

一同:
 すごいじゃん、それが一番の凄い変化!(笑)

NPOも交えてひとつの“チーム”に


CW高橋さん:
 永井くんは普段接するクライアントとの違いは、どう感じていたの?

ウェブデザイナー(以下、WD)永井さん:
 仕事だとどうしてもビジネスライクなシーンに陥るところが出てくるのだけど、プロボノの場合は、マーケッターとかプロジェクトマネジャーが最初に道を作った上で、さらに自分が積み上げていく。また、NPOも僕らボランティアをある種もてなしてくれるという普段の仕事とはまた違った側面もありますよね。仕事としてカチッとした無機的なデザインを出すこともできるけれど、NPOともチームともお互いにコミュニケーションを取ることを大切に進める中で、団体の特徴に添うように、自分の中では柔軟な軌道修正が出来ていったと感じています。

CW高橋さん:
 さっきのビジネスライクの話じゃないけど、青い空さんは本当にアットホームだったじゃない。俺の観点からいうと、「やってもらっている!」というスタンスでもなければ、こっちも「ボランティアだから、作りたいものを作らせてもらいますよ」というわけでもなかった。青い空さん側も制作サイドも同じフィールドに立って進められた。つまり、青い空さんも同じことを目指している「一つのチーム」だという想いがあった。そういう風に動いていたから割とうまくいったのかなという気はするよね。

PM山田さん:
 一緒に動いているうちに、青い空さんの理念とか良さ、本当のところの理解が深まっていったというのがありますね。

ME荒木さん:
 そうそう、「作ってやったぞ!」ではなく、みんな一緒にやってたよね。

チームでやることに意味があった

ME荒木さん:
 実際、プロボノをやっていく中で、「マーケッターの三宅さんってこんなキャラクターだったんだ」とか、「私こんなことできるんだ」とか、「チームでやるとこんなことができるんだ」とか、いろいろな気づきがあったな。提案ミーティングのときのCW高橋さんとWD永井さんの落ち着かせるところが分かっているトークの流れは勉強になったし。

MK三宅さん:
 やはりチームというのがいいですよ。もともと人権をテーマとしたNPOには興味があったけれど、今回のような内容を一人で青い空さんの中に入って、意見をぶつけるのは私には難しかったと思う。みんなでミーティングすることで、みんなの意見をぶつけて、青い空さんに考えてもらってというところに心強さと学びがあります。

CW高橋さん:
 俺の志望動機も含めてなんだけど、フリーランスとして基本一人で仕事をやっていて、職人さんみたいな感じなの。だから、自分にとって仕事以外のことをするなら「チームでないと意味がない」というのか、チームでやることに意味があった。

ME荒木さん:
 私も会社で一人での仕事が多いし、複数でやったほうが学ぶこともあるでしょ。予想もつかない化学反応があったり。途中で挫けそうになっても、やるしかないなって。

WD永井さん:
 チームですからね、突き進むしかないですよね。やるっきゃない(笑)。

PM山田さん:
 ある程度の持続性とパフォーマンスを保つという意味でも絶対にチーム制がいいと思います。一人だとどうしてもこのへんでいいかとか、飽きてきちゃったりとかあると思うけど、チームだとたすきリレーと同じで自分だけ手を抜けないし、抜いたあとが恐い(笑)。

CW高橋さん:
 メンバーがみんなプロ意識が強かったのかもしれないね。一緒にやっているうちに、責任感が増えたということもあると思うけど。

ME荒木さん:
 ウェブサイトの文章や言葉に関するところは、高橋さんがいてくれたおかげで、安心感が大きかったですよ。

PM山田さん:
 青い空さんからも「高橋さんがそう言うなら」という発言も出てきたりとかして、先方からの厚い信頼感を得て進められた。それが上手くいった一つの要因かなと思います。

WD永井さん:
 サービスグラントの取り組みはホームページが成果物なんですけど、その過程にマーケッターの提案があって、NPOの資産を掘り起こす。そして、一つのホームページとして形になって、そこからまた新たにNPOの活動が広がっていくわけですよね。つまり、サービスグラントはあくまでもNPOたちにとってキッカケに過ぎなくて、そこから先、僕たちとのセッションを通じて、改めて自分たちの良さとか魅力を再認識してくれたと思います。だから、僕らは、「ホームページを活かしながらもっと頑張ってください」って応援する気持ちになります。そして、それがプロボノの本当のあり方かなとも感じましたよ。

CW高橋さん:
 期間が長いじゃないですか。それだけ長いと、チームとの相性はあるだろうけれど、仲良くなる機会の方が多いはず。ベースの価値観は一緒だからね。

ME荒木さん:
 「仕事プラス何かやりたい」っていう人たちだもんね。

PM山田さん:
 そういう志高い人たちと一緒に出会えるっていうのはちょっといいですよね。

CW高橋さん:
 最初は正直、ボランティア的意識を持ってどれくらいまでやればいいんだろうという感覚もあったけれど、実際動き出したら仕事と違いはないっていうか、お金もらうかもらわないかだけの話であって、あんまり関係ない。ボランティアだからって、「ま、いいんじゃない?」って妥協するわけでもないし。そういう意味で、みんなプロだったという気はするけどね。

PM山田さん:
 達成感に必ずしもお金は必要じゃないっていうか、最終的には目の前の人が喜ぶかどうかですからね。

「人がつながり、想いを結ぶ」

PM山田さん:
 これからサービスグラントのプロジェクトに参加される方へのメッセージは、「進行ガイドはよく読んで!」でしょうか。
 僕のモチベーションとしてもガイドに興味があったんですよ。「タップルート(サービスグラントを開発したアメリカの財団名)」のベストプラクティスだと思うんですけど、このお陰で僕はウェブサイト構築はやったことなかったけど、プロジェクトマネジャーとしての役割に十分対応できた。特にプロジェクトマネジャーには読み込んでほしいな。

CW高橋さん:
 クリエイティブな立場から言うと、スケジュールだけみるとコピーもデザインも後半が出番になってくるけど、特にコピーライターはただ文章を書くだけじゃなくて、NPOから上がってくる原稿の校正もあるでしょ。だから、文章を書くっていう意識よりも最初から最後まで関わるぐらいのつもりでいたほうが相手とのコミュニケーションが取れるし、あとあと楽になりますよ。
 特に、コピーは相手が何を考えているかが大事だし。例えば、先方から出てきたテキストの重複部分とかをばっさりとそぎ落としたりしたけど、それを青い空さんが認めてくれたのは、それまでの長い期間、きちんとコミュニケーションがとれていたからだと思う。俺としては、この部分を切っても相手に説明や説得できるだろうという安心感があったしね。コミュニケーションができてなかったら、どこをどう切るべきか判断できないし、果たしてカットした理由を説得できなかったかもしれない。だからできるだけ、参加できるものは参加して、特にコピーライターはコミュニケーションをとった方がスムーズになると思いますね。

ME荒木さん:
 できるだけ打ち合わせには参加して、月イチぐらいでも顔合わせるのは進行上もとっても必要だな。

CW高橋さん:
 支援先のNPOもボランティアはどんな人だろう、と思い、こちらもNPOはどんな人たちなんだろう、って人となりを見るじゃない、お互い。お金云々じゃない関係性だから、そういう意味でも大事なんじゃないかな。

MK三宅さん:
 サービスグラントさんを一言で表すのは難しいですが、つながりのきっかけをもらって、このチームで繋がって、青い空さんと繋がって、さらに、青い空さんが社会と繋がる。広がっていく感じ。

ME荒木さん:
 不思議だよね、最初は6人で集まって、ウェブサイト通してすごいいろんな人が繋がっていく。

CW高橋さん:
 つまり、この『青い空チーム』にとって、サービスグラントをキャッチコピーっぽく一言で表すと「人がつながり、想いを結ぶ」って感じかな?

【プロジェクトメンバー】

NPO法人青い空 −子ども・人権・非暴力
ウェブサイト・サービスグラント

プロジェクトマネジャー: 山田孝雄さん
マーケッター: 三宅規子さん
コピーライター: 高橋信久さん
ウェブデザイナー: 永井伸英さん
マークアップエンジニア: 荒木紀子さん

 

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