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大友宏子さん(企業協働プロボノ)

プロボノへの参加理由は、恩返し

 

大友宏子さん(日立製作所勤務)
参加プロジェクト:ちょいフル(2022年度)、ほやほや学会(2023年度)

 

普段は、自動車業界向けのシステム開発・構築を担当するシステムエンジニアとして仕事をしている大友さんに、同企業の社員チームでプロボノプロジェクトに取り組む「企業プロボノ」の体験を語っていただきました。

プロボノへの参加理由は、恩返し

 

プロボノに参加したのは、数年前に私の子どもが、地域のボランティア団体にお世話になった経験がきっかけです。その団体の活動に、とても感謝しており自分自身も助かった面があったので、自分も社会貢献をすることで恩返しをしたいと思っていました。そんな中、勤務先でプロボノの機会があると知りました。プロボノプロジェクトでは、自分のスキルを活かせるボランティアだということで参加をしました。

普段の仕事はシステムエンジニアで、お客様の対応などが入ると忙しいうえに、子育てもしているので、プロボノ参加前は「両立が難しいのでは」という不安がありました。また、3ヶ月という有期のプロボノ活動の中で、支援先団体の方に満足いただける成果が出せるかという不安もありました。ただ、プロボノに参加した実際の感想としては、大変ではありましたが、それ以上の価値はあったと思っています。

 

2年連続で、団体の運営基盤強化に関わるプロボノプロジェクトに参加

 

2022年度は、一般社団法人チョイふるという東京都足立区で活動している団体を支援しました。チョイふるは、生まれ育つ環境に関わらず、子どもたちが「チョイス」(選択肢)を「ふる」(たくさん)に感じられる社会をつくりたいと活動をされている団体で、食品配達を通してに困窮する子育て世帯と“つながる”活動、親子のための第3の居場所、子ども食堂、個別最適化した子育て情報の提供などに取り組んでいます。プロボノプロジェクトの内容は、利用者管理に関する業務フロー設計とデータベースの要件定義でした(プロジェクト情報)。
食品配達を月2回程度実施されているのですが、配布は全てボランティアが行っており、配布を担当する方が毎回変わります。また、全員に配布するのではなく、経済状況に応じて配布回数も変わるのですが、それらの調整をほぼ手作業で管理されていて、運用負荷が高いところを改善するということが支援内容でした。

 

2023年度に参加したのは、一般社団法人ほやほや学会のプロジェクトです。東北宮城県を代表する海産物「ほや」の認知度向上・販路拡大を通じて、東北の振興を目指して活動している団体へのプロボノプロジェクトに参加しました。東日本大震災前、宮城県が最大のほやの生産量を誇っており、その7割が韓国へ輸出されていました。しかし、震災後の風評被害をきっかけに、韓国への輸出ができない状態が続いています。そこで、ほやほや学会では、日本国内での認知度の向上や販路拡大を目指して、ほや好きな方や生産者が集まるネットワークを広げ、「宮城県をほやの聖地に」と活動されています。プロボノプロジェクトでは、ほやのファンである「ほや伝道師」という方々の会員管理の整備や、情報配信をできるようにし、加えて「ほや伝道師」活動の発展形を作っていきたいという考えをどう実現するのかに取り組みました。(プロジェクト情報)。

このプジェクトでは、ふるさとプロボノとして、現地滞在が必須で、石巻に2回訪問しました。1回目は現地見学やヒアリング、団体の方との対面での協議や方向性の検討を目的に訪問。2回目は、プロジェクト終了後に「ほや伝道師」向けのイベント開催の運営スタッフとして参加しました。イベント参加者に対するほやの商品を小分けにして配ったり、プロジェクトと異なることもお手伝いし、良い体験だったと思います。

 

ほやほや学会のプロジェクトでは、現地滞在で養殖場を見学

 

3ヶ月のプロボノ活動、楽しさと大変さ

 

2022年度のチョイふるのプロジェクトはコロナ禍でしたが、支援先を理解する必要があると思い、実際に、活動現場にも足を運びました。当時小学1年生だった娘と一緒に参加したのは、食品を支援家庭に配布する準備と各家庭に配達する活動です。団体の方の話を聞くだけではなく、その先の受益者であるご家庭まで現場見学をすることによって、受益者の方の困りごとを理解したり、この活動で少しでも手助けになれれば!というモチベーションに繋がりました。

プロボノ活動で大変だったことは、プロジェクトの期間が決まっていることです。3ヶ月の期間の中で、前半のキックオフなどの立ち上げ期間、また後半の成果物を早めに提示して調整する期間を考えると、実質の活動期間は2ヶ月くらいしかありません。支援先団体は、マインド高く色々と実現したいイメージを持ちつつ、一方で多くの課題もお持ちなので、チームがヒアリングをするとプロジェクトで実現したいことが広がっていく傾向にあります。そのため、まずは「今あるイメージの整理からしましょう!」と広がる風呂敷をたたみながら、でも、それだけで終わりとなると団体さんには満足いただけないので、やはり、明確に役立つものを作らないといけない、と常に時間との戦いではありました。

 

 

団体とチームの打ち合わせでは、課題整理を実施

2つのプロジェクトを経験して、すごくいい活動に貢献できたなという気持ちで終わることができました。これは、プロボノのいい所だと思っています。
支援先団体も、集まったメンバーも、皆さん自ら望んで手を挙げて参加しているので、貢献したい、役に立ちたいという気持ちがある方々が集まっています。すごく前向きな環境の中で様々なことが検討され、作り上げられていくので、打ち合わせの後も、清々しい気持ちでした。

 

プロボノの気付きを仕事へ活かす

 

プロボノを通じた気づきの1つは、ヒアリングです。システムエンジニアの仕事でも市場やお客様にサービスやシステムを提供するにあたって要件を聞いていきますが、改めて、ヒアリングを丁寧に実施することの大切さを実感し、以前よりも、仕事でも丁寧に行うようになりました。
もう1つは、前向きなマインドをもつことの大切さです。プロボノ活動では、支援先・チームメンバーがそれぞれに想いを持ち、前向きに取り組む姿勢が素晴らしいと感じました。業務でもお客さまやチーム内での検討時にも前向きな気持ちでしっかり準備するようになりました。

今までは、個人でもボランティア活動をしたことはなくて、仕事と家庭がメインでしたが、プロボノに参加した後に、子どもの小学校のボランティア活動にも参加するようになりました。仕事と家庭以外の社会とのつながりがあった方が、自分の人生の質が上がるのではないかなと思って活動しています。

 

同一企業内でのプロボノは、社内での新たな人とのつながりに効果あり

 

勤務先主催のプロボノしか経験がないので比較が難しいですが、同一企業内のプロボノのメリットは、同じ社内の全く違う仕事をしている人と知り合うきっかけになることだと思います。同じ組織に属しているからこそ、プロジェクト以外の時間で会社での悩みを共有したり、自分自身が知らない解決策の話が出てきたり、身近に相談に乗っていただける方ができました。社内での新たな人との繋がりができたのがよかったと思います。
また、異業種のメンバーとチームになりプロボノに参加する場合は、企業文化の違いによるチューニングが必要かと思いますが、同じ組織だと、集まる人の価値観が近いところから始められるのが、良いところではないかと思います。

 

※この記事は、2024年3月13日に開催したサービスグラント主催のオンラインイベントの内容をもとに編集しています。

企業でのプロボノの取り組みについてのお問い合わせや、プロボノに関する情報収集をご希望される方は、以下のお問い合わせまでお気軽にご連絡ください。

 

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