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越境体験の経験を組織に還元する効果的な方法

 

 

国内最多のプロボノ実績を誇るサービスグラントが提供する 社会課題解決型 越境学習プログラム「プロボノリーグ」。2023年度は、コロナ明けから久しぶりの対面での集合研修とチーム活動で開催されました。

 

日常の職場とは異なる環境だからこそ得られる自己認識と自己発見、異業種混成チームでの共有とコラボレーションから生み出される成果と効果を、2023年プロボノリーグのレポートを通じてお届けします。

 

目次

プロボノリーグの概要と2023年実施内容

成果物と参加者の活動の様子

越境体験のプロセスと企業のあるべき体制

 

 

2023年プロボノリーグの概要

 

プロボノリーグは、社会課題の現場体験と個人の成長を目的とした越境学習プログラムで、異業種の社会人が集まり非営利団体や地域団体の課題解決に挑戦します。

 

このプログラムは、参加者に対して、自身の専門知識を社会課題解決に向けて活かすとともに、職場とは異なる環境での学びを通じて、個人の価値観、スキルセットを拡張する機会を提供します。参加者は、異業種のチームメンバーと共に、実際の社会課題に取り組みながら、コミュニケーション能力、問題解決能力、そしてリーダーシップスキルなどを高める経験を積むことができます。

 

プロボノリーグでは、実践的なアクションラーニングを核としており、参加者はプログラムを通じて、理論だけでは得られない貴重な知見と経験を得ることができます。社会課題の現場に日々触れている支援先への見学やヒアリングなど、チームの自主的な活動などを通じて支援先が抱える課題の真因を探り、その解決策である具体的な成果物を制作していきます。

 

また、個人のスタンスやマインドを測ることで内省を深め、プログラムでの学び・気づきを企業に持ち帰り、業務に役立てて頂くという目的のもと、プログラム期間中の活動の様子を参加者一人一人へフィードバックすることで、自分で気づかない特長や自分が他人からどのように思われているかについて知ることが出来ます。

 

2023年度のプロボノリーグは、保険・金融・医薬品/医薬部外品・製造業・サービス業など、幅広い業種から22名の企業人が参加しました。これらの参加者は、自らの専門知識とそれぞれの業種からの新しい視点を活かし、2つの非営利団体の課題解決に向けて取り組みました。

 

支援を行った団体は下記の2団体です。
一般社団法人ピーペック」は、病気を持つ人々の声を集約し、発信することで、病気による不利益を克服しようとする活動を行ってる団体です。
はびろ農業公園みはらしファーム」は、体験型農業を提供し、地域活性化を目指す地域団体です。

 

参加者は、プログラムを通じて、自己のキャリアにおいて新たな可能性を見出すとともに、社会に対して積極的に貢献することの重要性を実感しました。また、異業種のメンバーとの協働を通じて、多様な視点を理解し、尊重することの価値を学びました。

 

 

成果物と参加者の活動の様子

 

Aチームの成果物

Bチームの成果物

 

Cチームの成果物

Dチームの成果物

 

Eチームの成果物

 

プロボノリーグでは、参加者たちが異業種混成チームを組み、非営利団体や地域団体の課題解決に取り組みます。この過程で生み出される成果物は、参加者の多様なスキルと創造性によって多角的な視点から生み出され、支援先団体にとっての実効性を高めることや新たな価値の提供に繋がります。

 

支援を行った団体「ピーペック」さんのコメントです。

 

健康経営企業へのアプローチ手段や、隠れた“なかま”を集める仕組みについて、調査や分析をもとに私達の体制やリソースを考慮いただいた実行可能な提案をしていただきました。自分達が気づいていなかった新しい視点も提示していただき、今後の私達の活動への良いヒントをいただけました。

 

支援を行った団体「はびろ農業公園みはらしファーム」さんのコメントです。

 

高齢化、後継者不足、環境の変化という課題について、調査や検証、驚くほどの行動力で、「関わりしろシート」「収益分岐点」「販路拡大」「SNSの活用」等の自分達で手が回せなかった提案やユニークなアイデアをたくさん頂けました。まずは出来ることから手を付け、活動に繋げたいと思っています。

 

 

このように、プロボノリーグを通じて提供された成果物は、理論上の提案にとどまらず、支援先団体が直面する実際の問題に対する具体的な解決策を提供します。ここで重要なのが、「現場力」の概念です。現場力とは、現実の課題に直面した際に、理論だけでなく現場での経験や直感をもとに迅速かつ柔軟に対応できる能力のことを指します。プロボノリーグでは、参加者が実際の社会課題の現場への参加や当事者へのヒアリングなど積極的に実施することで、現場力を鍛える貴重な機会となっています。

 

プログラムを通じて、参加者は自分の専門分野だけでなく、他業種の知識や技術に触れることができ、さらにはチームメンバーとの協働を通じて、異なる視点やアプローチ方法を学びます。この経験は、問題解決能力を高めるだけでなく、参加者が所属する企業にとっても、社内での新たなプロジェクトや課題に対するアプローチ方法に革新をもたらす可能性を秘めています。

 

実際にプログラム参加者からのコメントには、この越境学習の体験価値の高さが現れています。

 

自分が会社で行ったことのない役割にチャレンジしてみました。自ら調べて手を動かすけでなく、色々な会社から集まったチームの皆さんに支えていただいたからこそ出来たと思います。

 

会社とは違う環境に飛び込んで良かったです。団体の課題を自分事としてとらえ、自分が出来る事、得意な事を活かして自らの役割を見つけ活動したことが、会社に戻っても役に立つと思います。

 

チームのメンバーで成し遂げることは素敵なことだと思いました。異なる環境のメンバーだからこそ、自分の強みだけでなく弱みをさらけだし、協働しながら社会課題の解決に動けました。

 

社会課題に向き合う団体との関わりは今回初めてで戸惑いましたが、社会の一員として、会社の一員としてできることは沢山あるのだということを感じました。視野の広がる活動ができました。

 

 

このプログラムは、参加者にとって自己のスキルを試し、新しい知識を獲得し、異なる業種や文化から学ぶ貴重な機会を提供します。さらに、チームワークという実践の中で、異なるバックグラウンドを持つ他の企業人と協力することで、多様性を理解し、尊重する能力も養われます。

 

プロボノリーグのような越境学習プログラムは、参加者のキャリア発展における新たな道を開くだけでなく、参加者が所属する企業にとっても、社員の能力向上、社会的責任の履行、組織文化の革新といったいくつかのベネフィットをもたらします。参加者がプログラムから持ち帰る新しい視点やアイデアは、企業内のイノベーションを促進し、組織全体の成長を支える重要な要素となりえます。

 

 

越境体験のプロセスと企業のあるべき体制

 

 

では、参加者のこれらの経験が企業に戻ってからも活かされるためにはどのようなことが大切なのでしょうか。実際にこれから越境体験の導入を企画・検討している多くの企業担当者からそのような悩みや相談を頂くことが多々あります。

 

越境体験プログラムは、参加者が自社の枠を超えて新しい環境で学び、その経験を自社に還元することを目的としています。「越境前」「越境中」「越境後」の各フェーズでの越境者の状況に応じたサポートが必要です。

 

法政大学の石山 恒貴教授の著書「越境学習入門」でも、越境体験が持つ困難と変革の可能性が示されており、これを踏まえた企業のサポート体制の構築が重要です。

 

越境体験は、大規模で安定的な組織環境から小規模かつ未経験の組織に身を置き、再び大規模な組織に戻ってきてその組織の中で変化をもたらすという、不安定な環境可で気づきを得るプロセスです。
セッションレポート:企業にとっての越境学習の必要性とそのポイント (法政大学大学院政策創造研究科教授 石山 恒貴氏)


越境前:マインドセットの整備
越境前の段階では、参加者が新しい環境に対する準備として、マインドセットを整えることが求められます。企業としては、参加者が越境体験に対する不安を克服し、積極的に学びに挑むための心構えを支援する仕組みを用意する必要があります。これには、越境体験の目的や期待される成果についての説明会、先輩越境者によるシェアリングセッション、メンタルヘルスのサポートなどが含まれます。

 

越境中:適応と挑戦
越境中は、新しい文化や異なる業務スタイルに適応しながら、具体的な課題に取り組むフェーズです。この期間中、参加者は多くの挑戦に直面しますが、それは同時に成長の機会でもあります。企業は、適度な定期的なフィードバックセッションやメンタリングプログラムを通じて、参加者が直面する問題を共有し、解決策を模索する場を提供することが重要です。また、参加者が新しい環境での学びを深めるためには、支援先団体についての文化や業務プロセスについての事前学習や支援先団体の協力体制も重要になります。

 

越境後:再適応と還元
越境後は、学んだことを自社に還元し、新たな価値を創出する段階です。しかし、このフェーズで参加者は、越境体験を通じて得た新しい視点や価値観が、古い体制や文化と衝突することで生じる心理的な葛藤を経験します。企業は、参加者が新しい知識やスキルを社内で共有し、活用するためのプラットフォームを提供すると同時に、参加者の変化を受け入れ、組織文化や体制の変革を推進する姿勢が求められます。これには、報告会の開催、プロジェクトチームへの参加の機会の提供、越境学習の経験を生かした新たな取り組みの推進などが含まれます。越境後のサポートは、参加者が不安と葛藤を乗り越えて行っているアクションのプロセスを組織全体で共有し、学びを組織文化の一部にすることが重要です。

 

 

企業が越境体験のプロセス全体を通じて適切なサポート体制を構築することは、参加者の学びを最大化し、その経験を組織全体での成長と革新につなげるために重要です。越境体験を通じて得られた新しい知識、スキル、視点は、組織が直面する課題に対する新たな解決策を提供し、持続可能な成長を促進します。

 

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