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プロボノセミナー「成功するプロボノ」プレゼン内容ダイジェスト版

プロボノが生み出す企業価値と成功に導く5つのキーポイント
<ダイジェスト版>

 

【開催概要】

 

仕事のスキルや経験を生かしながら参加できる、社会貢献の新しいスタイル“プロボノ”。

ビジネスパーソンが、スキルや経験を生かして、社会的な課題解決のために付加価値の高いアウトプットを生み出していくプロボノは、企業の社会貢献活動やボランティアのあり方にイノベーションをもたらすと同時に、そこに参加するビジネスパーソン個人の自己研鑽やリーダーシップの育成など、働き方へのポジティブなフィードバックをも期待できることが特徴です。

この「プロボノセミナー」では、米国サンフランシスコを拠点に、NPOのウェブサイト構築やブランド開発から人事戦略や業務改善まで、幅広いプロボノのプログラムを運営する新進気鋭の非営利組織「タップルートファウンデーション」から実務を統括するシニアマネジャークラス2名をゲストにお招きしました。

全米6都市で3万人を超すプロボノ人材を擁し、これまでに5,800万ドル(約52億円)相当の経済価値を非営利セクターに提供したタップルートの実績紹介をはじめ、米国におけるプロボノの最新動向や、プロボノを成功させるための具体的なキーポイント、そして、日本の企業や行政などに向けたメッセージなどを発信しました。

 

【開催日時】
2010年 4月 23日(金)
セミナー 14:00〜17:00/懇親会 17:15〜18:30
【会場】
日本財団 2階大会議室 港区赤坂1-2-2

 

【講師】

ラグナー・フォン・シバー氏 Ragnar von Schiber

マンディ・チャペル氏 Mandi Chappell

 

 

セミナーの主な内容

  • 米国におけるプロボノの現状
  • タップルートファウンデーションについて
  • 企業にとってプロボノがもつ意味とは?
  • 企業がプロボノを始めるにはどうすればよいか?
  • プロボノのベストプラクティス
  • プロボノのプロジェクトマネジメント成功するプロボノ 5つのキーポイント

 

 

 

マンディ・チャペル氏 Mandi Chappell
プレゼンテーション

 

MandiChappell米国タップルートファウンデーション 上級ボランティアマネジャー
美術大学事務局の勤務を経て、2007年より現職。登録を希望するプロボノワーカーへの対応、プロジェクトへの参加呼びかけや、必要に応じた特定職種のリクルートなどを担当している。タップルートのボランティア参加は応募者に対して通過率は僅か20%。高い品質を生み出す源泉である人材確保のノウハウの他、プロボノに挑戦する個人の傾向や動向について情報蓄積を行っている。

 

5+ Years ago, pro bono service was rare and isolated.

 

5年前、アメリカでもプロボノをやっているのは弁護士のみでした。タップルートファウンデーションも活動をしており、その他、小さな活動が点在していましたが、大きなムーブメントとはいえない状況でした。しかしながら、数年前に幾つかの企業が正式にプロボノの活動を始め、プロボノというものが急浮上してきたのは、米国でもつい最近のことなのです。

 

A Billion + Change;
getting companies to commit to doing 1 billion dollars worth of pro bono service work

 

Mandi Chappell2008年、当時のブッシュ政権は、企業のプロボノ活動を大々的に奨励する“アビリオンプラスチェンジ”と呼ばれるキャンペーンを立ち上げました。その目標は、全米の企業を挙げて、3年間で10億ドル相当のプロボノサービスを提供するという目標を掲げ、開始から1年半で約半分の5億ドル相当のプロボノサービスが実現しました。

 

77% of nonprofits believe that skilled volunteers could significantly improve the business practices of their organization but only 12% use it.

 

デロイト社の調査によると、70%を超えるNPOが何らかの形でプロボノ的なサービスを必要としています。しかし実際に使っていると答えているNPOは12%にとどまっています。NPOとしましてはより効率的に自分たちの事業を運営し、たくさんのサービスを地域社会に出すためにプロボノのサービスが必要だと訴えています。

 

Just need the marketplace to bring it all together.

 

Just need the marketplace to bring it all together20万を超えるNPOが何らかの形でビジネスのプロのスキルを欲している一方で、それに見合うようなスキルを持っているアメリカ人が700万人以上いることも分かっています。
このように供給が十分あり、需要も高いにも関わらず、両者をきちんとマッチングさせることが難しいというのが現状です。

 

Our goal is to instill the “Pro Bono work Ethic” into the business community by 2020.

タップルートファウンデーションは、NPOに対してスキルを持った方々のスキルを提供しています。しかし我々にはもっと大きなミッションがあります。それはプロボノ精神、倫理観といったものを作り上げたいということです。我々の目標は2020年までに現在の法律家、弁護士のようにプロボノ活動が一般企業に制度化されることを目標としています。

 

92% are satisfied with their deliverable.

 

私たちは、既に1,100のプロボノのプロジェクトを完了し、7,000人を超すビジネスプロフェッショナルが参加してきました。私たちが取り組んだプロジェクトのうち99%は最終的な成果物を提供することができ、92%のNPOは成果物に満足を示しました。

 

When implemented the new name and logo, it began seeing immediate results.

 

タップルートが支援した Parent Leadership Institute というNPOでは、団体名を Hand in Hand に改称し、ロゴも刷新した結果1年間でこの組織の活動は2倍の時間に増えていました。OASES という団体には、人事システムの検討・評価を行った結果、年間の離職者数が従来の約4人から1人へと大幅に減少しました。

 

Key to success is having a well-defined process.

 

タップルートのベストプラクティスをいくつか挙げると、プロジェクトの範囲や内容をいつも明確にしていること、一人ひとりのプロボノワーカーに対してそれぞれの役割を明確にし、またどんなことが期待されているかも明確に提示していること、そして「ブループリント」という、プロジェクトマネジメント用のツールを作っていることなどです。ブループリントは、プロジェクト進行中に起こるであろう色々な問題点を克服するようなしくみです。また、NPO・プロボノワーカー双方への研修も非常に重要です。

 

ラグナー・フォン・シバー氏 Ragnar von Schiber
プレゼンテーション

 

Ragnar von Schiber米国タップルートファウンデーション 上級プログラムマネジャー
インテル等で製品管理を経験後、98年から非営利組織に勤務。
全米規模で交換留学生を受け入れる団体のコーディネート業務の統括などを経て、2006年より現職。
サンフランシスコ、シアトル、ロサンゼルス等で展開する常時150件以上のプロジェクトについて、NPOの審査・採択から確実な成果提供に向けたプロジェクトマネジメントまでを統括し、タップルートを支援する企業・財団およびプロボノのボランティア双方の高い満足を獲得している。

 

What are some community engagement opportunities you currently offer to employees?

 

現在みなさんの企業の中でどのような関わりを地域社会と持っているのか、どんなものを提供しているのかまた従業員、ご自分たちの会社の従業員に対してどのような機会を提供しているのを洗い出す必要があると思います。資金を提供する、人手を提供する、ということに加えて、NPOの基盤づくりやキャパシティビルディングを支援することもできます。

 

Start by thinking about the strategic factors most relevant to you.

 

プロボノに何を求めますか? 社会貢献活動のインパクトが重要なことなのでしょうか? いくつかのNPOを選んで限られた数のNPOに対して効果が大きなボランティアサービスを提供したいと思われますか? あるいは、NPOセクター全体に対して働きかけるような活動を行っていきたいと思われますか? 教育や環境といった特定の分野・領域に限った活動をしたいのでしょうか?

 

Look at it from the point of view of both impact and corporate goals.

 

もう一つ、別の観点で、プロボノを行うことによって会社の中にどんなメリットを生み出したいと思っていますか? プロボノを新事業開発のきっかけにされたいでしょうか? 人事面での刷新を図りたいと思っておられるでしょうか? プロボノ活動に自社の社員を送ることによってリーダーシップの育成など人材育成につなげたいと思っているのでしょうか? どうやったら世界に貢献できるのかという思考も大切ですが、プロボノを行った結果、企業の中にどんな価値を新たに生み出すことができるのか会社にとってのメリットも考えることが必要です。

 

Pro bono service allows you to have a “multiplier effect”

 

Communicating the business value of pro bonoプロボノの価値の一つが、少ない投資で高い効果を上げられる「乗数効果」といわれるものです。タップルートの場合、1件のプロジェクトにかかるコストは約7,000ドルですが、そのプロジェクトが完了した時点で得られる経済価値はおよそ7万ドルに相当します。つまり、投資回収率は約10倍であることが分かります。

 

Pro bono service is a particularly efficient way to improve your reputation as a socially responsible organization.

 

プロボノは、企業市民としての信用・評判を高めることにも有効です。アメリカ人の多くは、NPOを資金でサポートするのは誰でもできる当たり前のことと思っています。それに比べて、自分の時間を提供する、会社の製品を提供する、サービス・仕事を提供するということはより気持ちのこめられたものである、とお金の提供よりもよりよいものと見られます。
またプロボノの活動はその企業の得意分野、専門、コアコンピタンスが何であるのかをうまく世界に示すような一つの手段にもなりえます。

 

Pro bono service provides an excellent opportunity for professional development.

 

また、企業の人材にとってのメリットもたくさんあります。特に米国ではジェネレーションY(1975-89年生まれ)世代はいいことをしている会社で働きたいという気持ちが以前の世代よりも強いという特徴があります。
また、従業員がプロボノを経験することで、日々の業務ではなかなか訓練することができないリーダーシップの素養を育成することも可能です。また、離職率を下げることにもプロボノは役立ちます。スキルをもった有能な従業員の方々にとって、給料も大事ですが、プロボノを通じて、社会的な貢献を行っていることが認められて社会的な報酬を得ることができるのは、離職率を下げる上で非常に大きいのです。

 

Pro bono service helps to breakdown silos and nurture internal communication.

 

部門の壁をまたいだチームワークを通常の業務の中で育てることは難しいということもままあると思います。プロボノを取り入れることで部門をまたいだ多様な従業員が一緒にチームを作って仕事をする機会ができ、部門ごとの縦割りの壁を越えたチームワークや達成感を味わうことができます。

 

Innovation has been described as “the application of knowledge in a novel way”.

 

通常の会社の中の業務というのは、毎日同じような仕事を繰り返す傾向がありますが、プロボノに参加すると、自分のスキル、技能を通常の自分たちのマーケットとは違う環境の中で活かすことができます。そうした経験を通じて学んだことを日常の仕事に応用することによってより効果的に、よりイノベーティブな形で仕事を行っていくことができます。

 

65% of projects have a potentially fatal challenge at some point in the process that requires intervention.

 

プロボノ活動に対するNPO側のニーズは高いわけです。またそうしたスキルを持っている提供者の数もたくさんあるわけです。しかし、思うほどプロボノ活動が行われていない理由は何かといえば、その間に一つ欠けているものがあるからです。それは、適切なマネジメントのインフラにほかなりません。
適切なマネジメントインフラがないことによって65%のプロボノ活動がなんらかの問題に直面してしまう、またプロボノ活動のうちの5割、50%は失敗、不成功に終わってしまうという非常に驚くべき悲しい数字が出ているのです。

 

Each phase of pro bono service requires management infrastructure.

 

Each phase of pro bono service requires management infrastructure.

 

どんなタイプのプロジェクトを行いたいのか、そのためにはどんな人員が必要であるのか、組織として企業としては何をゴールとしてやっていきたいのか、然るべきボランティアをどうやって集めるのか、プログラムを展開するにあたってふさわしいNPOや中小企業をいかに選別するか、NPOおよびボランティア双方に対する研修をいかに実施するか、プロジェクト運営に必要なツールをどのように構築するか、いつまでに何をするといった目標日や活動目標をどう設定するか、どこで振り返って何を確認するのか、といったチェックポイントを明確にする必要などもあります。プロジェクトが完了したら振り返って評価を行う必要などもあります。成功のための設計・デザインが大変重要です。

 

Treat a pro bono client the same as any paying client.

 

Treat a pro bono client the same as any paying client.プロボノプロジェクトの成功の指標としては、「当初設定したスケジュール通りにプロジェクトが完了していること」「NPOが受け取った成果物を効果的に活用できること」「関係者の期待に沿っている、あるいは、期待を上回っていること」「NPO・ボランティア双方の満足度が高いこと」そして「NPOからこのプロジェクトのお陰で効果が出たという報告があること」という5点が挙げられます。

 

Q&Aセッション

 

プレゼンテーション終了後、来場者のみなさまにご記入いただいた「質問シート」をもとに、Q&Aセッションを行いました。

 

 

質問1「米国は日本からすればNPO先進国だと思われていますが、にもかかわらず、マネジメント能力不足でプロボノがそこまで必要とされていること自体に驚きです。アメリカにおいても企業人のスキルがそこまで必要とされているのでしょうか?」

 

回答1
「米国では数多くのNPO法人のトップが高齢化していき、退職する状況が起きています。また、NPOの数が増えてくると優秀なリーダーが確保できないケースや、トップが短期間で他の団体に移ってしまう事態なども起きています。一般的に、NPOは、常に人材も含めて資源が不足していることに変わりはありません。NPOにとって、リーダーシップの問題は大きな課題なのです。」

 

質問2
「米国の企業においてはどういった部署の方がプロボノに関心を持つのでしょうか?」

 

回答2
「それぞれの企業によって状況が異なりますが、ある会社では、マーケティングの部署が、ある会社では人事が、また別の会社では経理やITの部署が、プロボノに最も関心を持っているといったことが起こり得ます。どのような場合でも、関心の高い部署を巻き込んで、いい形で先鞭をつけ、それにならって他の部署に広めていくのがよいと思います。

 その際、CSR担当部署は、会社の中でプロボノ活動を推進していくドライバーとしての重要な役割を果たしていきます。CSR担当部署がつなぎ役となって、いろいろな事業部門を結び付けていくという役割を果たす、というのが正しい姿です。CSR担当部署の皆さまの役割とは、自分たちの企業の中のどの部門でプロボノ的な活動が始まっているのかをいち早く見出し、あるいは、どの部門でプロボノ活動を始めるのがいちばん適切で効果的であるかを見出して伝えていく、部門間のパートナリングを行っていく役割を果たしていくべきだと考えます。

 CSR担当部署以外としては、例えば、広報部門やマーケティング部門がプロボノのドライバーになることもあると思います。いずれにしても、企業のコーポレートアイデンティティや、社会的評価などを直接担う部門がドライバーになることが多いでしょう。」

 

質問3
「自社でプロボノを実践していくことを考えたとき、NPOのニーズを先に探すのか、企業のできること、何ができるかを考えるところから出発すべきなのか。どういった形でNPOとのパートナーシップを構築するのがよいかでしょうか?」

 

回答3
「この回答は、各企業が設定しているプライオリティによって変わってきます。ある特定の分野、例えば「病気や医療分野のNPOを支援したい」といった方向感がはじめにある場合は、対象となるNPO側のニーズをまず洗い出す作業から始まるでしょう。その上で、それに見合ったスキルが組織内にあるかどうかを振り返るという入り方です。
 もう一つの方法として、タップルートファウンデーションが運営するプロボノアクションタンクのホームページには、“コンピテンシーマップ”というツールがあります。いろいろなスキルセットが一覧で表示してあり、それを見ていただくと、こんなスキルがあるとこんなプロジェクトに参加できるのだ、というのが分かります。従業員の皆さまがお持ちのスキルに合わせて、こんなプロジェクトができるな、というところから着手するアプローチも可能なのです。」

 

質問4
「プロボノを行う際に、NPOとボランティア、企業などとの契約はどうされているのでしょうか?」

 

回答4
「タップルートの場合、まず、ボランティアに対しては“ボランティア・アグリーメント・フォーム”というものがあり、プロジェクトに参加いただく際に署名していただきます。そこには、どのような参加のしかたが期待されているか、どのような権利があるかなどが記載されています。
 NPOに対しては“サービスグラント・アグリーメント”があります。これは、それぞれのプロジェクトごとに作られるもので、プロジェクトの目標とする成果物について明確かつ具体的に書かれています。
 また、現在、タップルートでは複数の企業と協議を重ねており、こうした同意書・契約書のフォーマットの標準化に着手しています。標準化を図ることによって誰でも使えるようなプロボノ用の契約書のひな型を作りたいと思っています。あと5ヵ月くらいで完成する予定で、完成後は、プロボノアクションタンクのホームページからダウンロードできるようにする予定です。」

 

質問5
「ボランティアのモチベーションを維持しながら、NPOとどのようにマッチングを行っているのでしょうか? NPOと企業の意識の開きをどうすり合わせているでしょうか? あるいは、成果物について、両者の間で、どのようにしてイメージを共有しているのでしょうか?」

 

回答5
「タップルートでは、プロボノワーカーおよびNPO双方に対して、トレーニングならびにオリエンテーションにかなり力を入れています。
 プロボノワーカーに対しては、NPOが期待しているのはどのようなことか、どのようなリスクが想定されるのか、といったことをきちんと伝えます。特に、プロジェクトのスコープの範囲に入っていることとそれ以外とを明確に理解してもらうようにしていますし、大体どのくらいの時間のコミットメントが必要なのかについても伝えるようにしています。
 また“エクスペクテーション・セッティング”と呼んでいますが、お互いの期待度を擦り合わせるようなセッションを行って、その上でアグリメーメントにサインをしてもらうようにしています。そして、NPOに対してもボランティアに何を期待できるのか、何が期待できないのかを明確に分かっていただくようにしています。
 もう一つ加えて申し上げたいことは、“プロボノ”とは、言葉を補えば“プロボノ・ボランティアリング”であるということです。もし私たちからボランティアの皆さんに、「はい、あなた方はこれをやってください」というような調子で物事をいってしまったら、ボランティアではなくなってしまうわけで、そのような指示のしかたはしていません。例えば、子どもを支援することに興味がある、環境に関心があるということであればそれに関連するNPOのプロジェクトにご参加いただくようにしています。このようにして、先ほどの期待のマッチングとともに、モチベーションのマッチングということもしているのです。」

 

質問6
「ボランティアやNPOに対するトレーニングの内容について、もう少し詳しく聞かせてください。」

 

回答6
「例えば、企業でマーケティングの仕事をされている方は、自社におけるマーケティングがどのようなものであるかについて、精通し熟知されていると思います。会社には、それぞれの会社ごとに、独自の序列や組織体制、文化、社風があります。ところが、プロボノで入った先のNPOでは、環境は全く異なります。
 トレーニングの中で強調していることは、NPOに対してもボランティアに対しても、企業とNPOという二つのセクターは大きく違うものである、ということをお分かりいただけるようにご説明しています。そして自分の会社とは違う環境下でマーケティングスキルを活用するということへの認識を持っていただき、理解をしていただくのです。目を十分見開いて、耳を澄まして、周りの状況をよく理解し、どんなところに自分がいるのか、ということを理解していただくことが、我々がやっていることなのです。」

 

質問7
「プロボノのコストと経済的効果について、どのような考え方でコストや効果を算出しているのでしょうか?」

 

回答7
「まず、タップルートでは、1件のプロジェクトのコストが7,000ドルであると申し上げました。そのコストのほとんどは人件費です。プロジェクトの運営にかかわるスタッフの給与などをベースに、プロジェクトの必要経費を計算した結果が、1件につき7,000ドルという数字です。
 一方、プロジェクト完了後の成果をどのように金銭換算して評価するかについて、先ほど7万ドルと申し上げましたが、すべてが7万ドルというわけではありません。これはプロジェクトの成果によって幅が出ますが、だいたい、4万5千ドルから7万ドルの範囲内です。
 この計算の仕方はどうかというご質問については、アメリカにおける一般的な市場価格を参考にしています。プロボノワーカーが提供しているサービスの質は、一般的なプロフェッショナルのレベルと変わりません。ですので、WEBサイトにしても、戦略コンサルティングにしても、同じような仕事を実際のビジネスで提供した場合にいくら請求されるのか、に基づいて計算しています。」

 

質問8
「プロボノによって提供した従業員の時間を金銭換算して報告をする、ということですが、こうした報告のスタイルは、米国の企業では一般的なことでしょうか?」

 

回答8
「そのようにCSRレポートなどをまとめる企業の数はどんどん増えてきています。
 プロボノの実績を、時間をもとに金銭換算して、金額ベースで記録に残すケースは着実に増えています。もちろん、それが唯一の方法ではありませんので、皆さまのそれぞれの会社にあったソリューションを生み出して評価していただいて構わないですが、米国では金銭に変えて評価するということが多いと思います。」

 

質問9
「時間の都合上、このQ&Aセッション最後の質問になりますが、タップルートという組織は、どんな人材を採用しており、どんな人間集団なのでしょうか?」

 

回答9
「現在、タップルートには約50名のスタッフがいます。そのうち約15名がアメリコープビスタプログラム(政府のプログラム)を通じてやってきています。
 残りはさまざまですが、大半は民間企業出身の人間です。ボランティア・リクルーティング担当の部門では、ボランティアの方の履歴書をみて、プロジェクトに参加いただくには誰がいいのか審査を行っていますが、その部門の場合には企業における人事採用の経験者が多く着任しています。また、大学卒業の新卒者を直接雇用することもあります。
 タップルートの中では楽しみながらプロ意識に基づいた仕事をしていく、ということをモットーとしています。たくさん楽しいことがあるけれども仕事はあくまでプロフェッショナルに行うことに価値を置いているのです。その中で継続的な改善ということを常に頭におき、イノベーションを追求しています。我々はイノベーティブな組織です。そしてまた指標に基づいてきちんと現実をみながら仕事ができる組織であるとも考えています。
 そういった中で幸運なことに我々はNPOの分野の方々との接触があり、かたや民間企業との接触もあります。二つの異なる世界の両方からさまざまなインスピレーションを受けられるということは仕事として非常に素晴らしいことであると思いますし、その二つの世界に橋をかけるような仕事ができるということはエキサイティングな仕事だと思っています。
 米国でも、NPOと民間企業との間にはおおきな隔たりがありますが、本来は、そうあるべきではないはずです。いかに企業とNPOとをうまく橋渡しできるのかは大きな課題でもあり、エキサイティングなテーマでもあると思っています。」

 

「最後に、本日の来場者の皆さんにメッセージがありましたらどうぞ。」

 

「今日お集まりいただいた皆さまの中には、企業の中でCSR活動を行っている方がたくさんいらっしゃると思います。私たちもそうした皆さまからたくさんのインスピレーションやアイデアをいただいています。これから先、もっともっとプロボノの活動を、日本のNPOや日本社会に根付かせていくような仕事をしていただければ嬉しいです。
 その際に何らかの手助けが必要であれば喜んでお手伝いさせていただきたいと思います。私たちが持っているリソースでお役に立つようであればいつでもお手伝いいたしますのでぜひ、プロボノの活動を日本でも実現していただければと思います。今日はどうもありがとうございました。」

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